2015年 11月 26日
83歳の老婆 |
83歳でも老婆というのは少ない昨今、たまには老婆の雰囲気の女性もいる。
今朝の東京、冷たい7℃の雨。
みんなを起こす。朝陽が昇らないこんな朝は寝起きが悪い者ばかり、まったく。
熱いお紅茶とヨーグルトと柿とバナナ。
私はまだ白湯しか口にせず、全員が出て行ったら1人至福の時間を過ごす為に。
ローデのコンチェルトをボリーュムをあげて
かけているけど、みんな聴いてる?
ジャズの流れる珈琲屋にジムの帰りに毎日寄る。昨日も常連の83の女性も来られた。
彼女は高校の数学教師を定年迄勤めなあげた。
会話が理路整然としていて、政治の話から世間の常識まで素晴らしい考えで煙草を2本吸って珈琲を一杯飲んで、では皆さんごゆっくり!と去って行かれる。
誰がどう見ても彼女はホームレスの老婆にしか見えない。私も最初見た時はギョッとした。
ずっと両親とキチンとしたマンションに暮らしていた。ご両親が亡くなられて、特にお母さんが居なくなると食事をどうするのかわからなくなったそうだ。
都内の国立大学を3人卒業させたご両親は立派な方だったのだろう。彼女は長女で下のご兄妹は一流企業に勤め、家庭を作り子育ても終わり
1人でいる姉の心配も時々あったそうな。
しかし、彼女にはお金も哲学もたっぷりある。
誰にも迷惑かけず、凛としている。
世間の人は時々そんな彼女に一瞥を送り、嫌な態度も表すだろう。
でも数学教師として日本の子供達を教育した彼女のプライドがあるのだろうね。
毎日スーパーの弁当だけで生活していると言う。
親は食事の術は教えておくべきかも。
いや、そんなものは自然と覚えるものだか、母親に頼りっきりだった彼女はその点はかなり悔やむ。
汚れてはいないけど毎日同じドロンとした服を着てリュックを背負いゾロゾロ歩く姿はどこから見てもホームレスにしか見えない。
時々どこがそう見えるのか眺めて見た。
髪だ!
自分でハサミで時々切るというザンギリの白髪混じりが問題なのだ。
そこさえ綺麗にしたら鼻筋の通った小顔が美しい。
年金は世間に申し訳ないほどたくさん貰っていると時々親しい常連だけになった時呟く。
じゃぁ、誰かが言ってあげたらと世間は言うかもしれないが、立派な人生哲学を持ってる彼女には誰も意見など言えない雰囲気だ。
言葉遣いも丁寧で謙虚。
医者にはかかったことが無いらしい。
煙草は日に一箱は外国煙草の高級なものをカートン買いしてくる。
煙草の煙を見るだけで震え上がるほど軟弱な私など、どうしたものかと思うよ。
時々話しかけられる。
「お姉さん!毎日夕食作るの?」と。
はい、一応毎日三食作りますと生徒の様に応える。
「そうかぁ、感心だね」と軽くほめられる。
ずっとずっと彼女が元気で珈琲一杯と煙草2本でみんなを眺めていてくれる事を願っている。
みんなそう思いながら正面を見てJAZZを聴いている。
東京の片隅かな。
by memmon
| 2015-11-26 07:14
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